こんにちは、Emmyです。このブログでは、ベースの弾き方・譜面の読み方などを解説しています。
弾き始めたけど音が違う気がする…
知らない記号がいっぱい…
どれが重要なのか分からない…
以上のような、初心者さんのベースTAB譜へのお悩みを解決できればと思い、記事にまとめてみました。
✔この記事の内容
・ベースTAB譜をスムーズに読むための道順
・ベース初心者の方が見逃しやすい大事なポイント
・譜面によく出る記号
ベースTAB譜を効率よく読むには
ベースラインが読めるようになると、すぐにでも弾いてみたくなりますよね。
でもTAB譜にはベースライン以外にも、その曲を表現するために様々な情報が書かれています。
大事な情報を見逃してしまうと、音源とベースの音が合ってない?タイミングがずれてる?今どこ弾いてる?などの壁にぶつかり、最後までスムーズに演奏できないことも。
初めて行くお店の営業時間や道順を確認するように、TAB譜もあらかじめ大事な情報を確認することで効率よく読むことができます。
結論から言うと、以下の流れがオススメです。
1.譜面に書かれた3つの指示をチェックする
↓
2.曲全体の構成を確認する
↓
3.TAB譜のベースラインを確認する
この記事では、ベースラインを見る前の1と2について解説していきます。
※3についてはこちらの記事で解説しています。
譜面に書かれた3つの指示をチェックする
TAB譜には、最初にチェックしておきたい3つの指示があります。
1.テンポの指示 2.チューニングの指示 3.拍子の指示
さっそく見ていきましょう。
テンポの指示をチェック
譜面の左上にある「速度記号」がテンポの指示です。数字は1分間に刻まれる拍の数で、数字が大きいほど速いテンポになります。
テンポは原曲の速さに合わせるために必要な、とても重要な指示です。
特にベーシストは、テンポをキープすることが大切な役割としてあるので必ずチェックするようにしましょう。
例えばテンポ80の場合「4分音符が1分間に80個入る速さで演奏する」という意味なんですが、ガイドがないと分かりませんよね。
そのガイド役がメトロノームです。最近はアプリなどで手軽に入手できるので、ぜひダウンロードしてみてください。
※おすすめのメトロノームアプリ(無料)です。
アプリを開いて「80」と指定すると「ピッピッピッピッ」というガイド音が鳴ります。
テンポだけでこんなに印象が変わる
●テンポ80
●テンポ190
テンポが上がるだけでロックっぽい雰囲気になりますね。
ちなみに最近のヒット曲のテンポはこのとおり。
楽曲 | テンポ |
---|---|
「Lemon」米津玄師 | 87 |
「Pretender」Official髭男dism | 92 |
「マリーゴールド」あいみょん | 106 |
「Dynamite」BTS | 114 |
「紅蓮華」LiSA | 138 |
「恋」星野源 | 158 |
「うっせぇわ」Ado | 178 |
「前前前世」RADWIMPS | 190 |
イメージ通りだったでしょうか、それとも想像より速かった・遅かったでしょうか?
曲の途中でテンポが変わることもある
あまり多くはないですが、曲の途中でテンポが変わることもあります。
2023年のヒット曲、YOASOBIの「アイドル」は曲の途中でガラッと雰囲気が変わるところがありますが、テンポも変わっているんです。
そのため、テンポの指示は最初だけでなく曲の途中にもあるということを頭に入れておきましょう。
チューニングの指示を見ながらチューニングする
< Tuning : ●● >
テンポの近くに書かれた、この表記はチューニングの指示で、特別なチューニングのときに書いてあります。
指示が書いてない=レギュラーチューニングという意味なので太い弦から順に
E(ミ)、A(ラ)、D(レ)、G(ソ)の音に合わせましょう。
✔レギュラーチューニング 1弦(細い)・・・G(ソの音) 2弦 ・・・D(レの音) 3弦 ・・・A(ラの音) 4弦(太い)・・・E(ミの音)
意外とよくある半音下げチューニング
これはハーフステップダウンと読みますが、すべての弦を半音ずつ下げる「半音下げチューニング」の指示です。
✔半音下げチューニング 1弦(細い)・・・G♭(ソ♭の音) 2弦 ・・・D♭(レ♭の音) 3弦 ・・・A♭(ラ♭の音) 4弦(太い)・・・E♭(ミ♭の音)
先程の音より低いですね。
低音が素敵な男性ボーカルの楽曲、BUMP OF CHICKEN、米津玄師さん、菅田将暉さんなどの楽曲では低い声に合わせて半音下げチューニングになってることがあります。
この指示を見逃してしまうと音源に合わせて弾いたときに音の高さがズレてしまうため、必ずチューニング指示を確認をしてからチューニングを行うようにしてくださいね。
珍しいけど時々見かけるドロップDチューニング
< Tuning : Drop D Tuning >
稀にですが、ドロップDチューニングという変則チューニングもあります。
レギュラーチューニングの一番低い4弦だけ、E(ミ)ではなくD(レ)にします。
✔ドロップDチューニング 1弦(細い)・・・G(ソの音) 2弦 ・・・D(レの音) 3弦 ・・・A(ラの音) 4弦(太い)・・・D(レの音)※2弦のDよりも1オクターブ低い音
レギュラーチューニングより1音低い音が出せるので、ロックやメタルなどヘヴィーな楽曲で5弦ベースのような低音域を出したいときにこのようなチューニングになることがあります。
ちなみに5弦ベースの一番低い音はD(レ)よりも更に低いB(シ)ですが、4弦ベースで再現しようとすると弦がゆるすぎて音もあまり良くないのでドロップBまで下げることはほぼありません。
拍子の指示をチェック
TAB譜の始まりに書かれた、分数のように縦に2つ並んだ数字を「拍子(ひょうし)」といいます。
「拍子」とは、均等の間隔で刻まれる「拍(はく)」に周期的に強い部分を生じさせたもので、それを読みやすいように線で区切ったものが「小節(しょうせつ)」です。
●4分の4拍子(よんぶんのよんびょうし)
下の数字(分母)が1拍の単位になる音符、上の数字(分子)が1小節あたりの拍数を表しています。
4分の4拍子は、J-POPに限らず最も多くの曲で使用されている拍子です。
1拍の単位が4分音符、1小節あたりの拍数が4拍で、
「1・2・3・4・1・2・3・4・・・」
という周期で強い拍(アクセント)が登場しながら進行します。
●4分の3拍子(よんぶんのさんびょうし)
次によく登場するのは「4分の3拍子」です。
1拍の単位が4分音符、1小節あたりの拍数が3拍で、
「1・2・3・1・2・3・・・」
という周期で強い拍(アクセント)が登場しながら進行します。
4分の4拍子のように「1234〜」でリズムを取るとずれていってしまうので、この小節が何拍子で進行するのかをチェックするのはとても大事なことです。
曲中で拍子がズレる?
テンポと同じく、拍子も曲の途中で変わることがあります。
この譜面では、4小節目だけが「4分の2拍子」になり、5小節目からまた「4分の4拍子」に戻っています。4小節目に注目して聞いてみましょう。
この譜面のリズムの数え方は「1・2・3・4|1・2・3・4|1・2・3・4|1・2|1・2・3・4」です。
すべて4カウントで数えてしまうと、4小節目でずれてしまうんです。
曲の途中の拍子の変化はマニアックなことではなく、ポピュラーな楽曲でも登場するので、曲の途中の拍子の指示も必ずチェックするようにしましょう。
曲の構成・入り方・終わり方を把握しよう
楽曲の指示が分かったら、いよいよベースライン!といきたいところですが、ぐっとこらえて曲全体の構成を把握します。
楽曲はAメロ・Bメロ・サビなど複数のセクションで構成されていて、主に8小節や16小節単位でセクションが変わっていきます。
✔セクション名の例
Intro … イントロ。前奏。曲の始まり。
A … Aメロ
B … Bメロ
C … サビ
D … 大サビ、その他のメロディ
Inter … インター。間奏。1番と2番のつなぎ目など。
Solo … 楽器のソロパート。Ba.Solo、Gt.Soloなどパートが書かれている場合も。
Ending … エンディング。後奏。曲の終わり。アウトロとも。
シンプルな楽曲であればスムーズに最後まで弾けるかもしれませんが、最近は複雑な構成の楽曲が増えてきています。
さらに、初心者さんにとって厄介な「繰り返し記号」もあると、どこを弾いているか分からない迷子になってしまうことも。
ひと手間ではありますが、地図を見るように曲の構成をあらかじめ把握することが、遠回りのようで近道だったりするので、ぜひ見てくださいね。
セクションの範囲をチェック
セクション名やセクション番号(数字・アルファベット)は、小節の左上に書かれています。これらを見ながら、セクションを把握していきます。
例えばこの譜面の場合、Introと書かれた小節から、Aと書かれた小節の一つ前までが、Introの範囲です。
「Intro」とベースが入る小節をチェック
ベースは必ずしも「Intro」の一番初めから入るとは限りません。最初はギターやピアノで静かに始まり、ベースは途中から入るという楽曲もよくあるので、自分がどの小節から弾き始めるのかチェックしておきます。
繰り返し記号をチェック
迷子の原因ともいうべき「繰り返し記号」をチェックします。
繰り返し記号は、同じフレーズを繰り返すときに、譜面が長くならないよう省略するために使われるのですが、初心者の方にとってはすごく悩ましい記号です。
これからご紹介する5つの記号は、一般的な譜面やバンドスコアでも高確率で登場するので探してみてくださいね。
覚えるのが難しい場合は、譜面に赤ペンなどで書き込んでもいいと思います。
リピートマーク
小節と小節を区切る縦の線が、太線と細線、さらに2つの点を付けた記号になっています。
これは、向かい合わせになった記号2つに挟まれた部分を繰り返すときに使われます。
繰り返す回数は基本的に1回です。複数回繰り返すとき、例えば3回繰り返す場合は「3 times Repeat」または「3×」と追記されています。
通常はリピートの始めと終わりの2箇所にありますが、曲の1小節目に戻るときだけ始めの記号は省略されます。
カッコ
リピートマークによって繰り返し演奏する際に、後半の部分が異なる場合に用いる記号です。
1度目は1カッコ内を演奏し、2度目は1カッコを飛ばして2カッコ以降を演奏します。
ダ・カーポ(D.C.)
da capo(始めから)の略記で小節の右下に記されます。
D.C.と記されたところから曲の始めに戻ります。
ダルセーニョ(D.S.)
D.S.(ダルセーニョ)の指示があった位置から、セーニョマークのところまで戻ります。小節の右下に記されます。
コーダ(Coda)
D.C.やD.S.で反復をした際に「To Coda」の小節から「Coda」のある小節まで飛んで演奏することを指示しています。
一緒に拍子・テンポの変化も見ておこう
拍子・テンポのところでお話したとおり、曲の途中で拍子やテンポが変わることもあります。
そのため、構成を確認するときに一緒に確認しておきます。
「Ending」で曲の終わり方をチェック
曲の最後のセクションである「Ending」は、「Intro」と同じくらい重要な部分です。曲の終わり方に関係する記号をご紹介します。
●終止線
曲の終わりを示す縦線です。小節の右側に細い縦線と太い縦線が1本ずつ並んでいます。
●rit.(リット)&フェルマータ
「rit.(リット)」はテンポを次第に落としていくことを指しています。曲の終わりなどで演奏がだんだんゆっくりになっていくときに書かれます。
「フェルマータ」は半円の中に点がある目のようなマークで、こちらも曲の終わりなどでよく使われます。指示は「テンポに関係なく演奏者のタイミングで程よく伸ばす」ですが、音源と合わせる場合は原曲をよく聴きながらタイミングを合わせて演奏します。
●F.O.(フェードアウト)/Repeat & F.O.(リピート&フェードアウト)
F.O.(フェードアウト)は曲全体の音量が徐々に小さくなって終わるときに書かれます。
Repeat & F.O.はリピートマークで囲まれたフレーズを繰り返しながらフェードアウトで終わっていくときに書かれます。どちらも音源と合わせる場合は、曲に合わせて小さくなって終わります。
バンドで演奏する機会があれば、メンバーと相談しながら終わり方のアレンジを考えたり、アーティストのライブバージョンを真似したりするのも楽しいですよ♪
実践!練習問題
これまでのポイントを踏まえて、問題を作ってみました!
大事な指示、曲の構成、繰り返し記号、終わり方などなどを織り交ぜた全5問です。それではどうぞ!
問題
Q1.この曲のテンポは?
Q2.この曲のチューニングは?
Q3.この曲の拍子は?
Q4.この曲の構成は?
Q5.最後はどんなふうに終わる?
Q1.この曲のテンポは?
A1. テンポ120。
Q2.この曲のチューニングは?
A2. 半音下げチューニング。
Q3.この曲の拍子は?
A3. 4分の4拍子で始まり、Dの最後で4分の2拍子、C’で4分の4拍子に戻る。
Q4.この曲の構成は?
A4. Intro → A → B → C → Inter →
(D.C.で最初に戻る)Intro → A → B → C →
(to Coda からCodaマークに飛ぶ)D → C’ →
(リピートマークの範囲を繰り返す)C’ →Ending!
Q5.最後はどんなふうに終わる?
A5. (rit…)だんだんゆっくりになり、(フェルマータ)最後の小節は伸ばして終わる。
以上、お疲れ様でした!全問正解できましたか?
まとめ
ボリュームたっぷりでしたが、少しでも参考になったら嬉しいです。
最初は時間がかかるかもしれませんが、慣れると見るべきポイントが流れでスッと目に入るようになっていきます。
ベースラインの音符や記号の見方は、こちらの記事で細かく解説していますので良かったら見てくださいね。
持っている譜面が難しすぎる、と感じたら
Emmy’s Bass Labの初心者さん向けの譜面は、難しい記号をできるだけ使わずに、「分かりやすい・見やすい・弾きやすい」を心がけて作っています。
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